私の愛する菱餅

私は菱餅が大好きだ。

あのもちもちっとした食感とほのかな甘みがたまらないのだ。

 

妹の雛人形が飾られてるときも、男の子なので人形には目もくれず、雛人形をしまった後に振る舞われる菱餅を狙うのだ。

 

しかし年によってはひなあられしか無い年もあって、そういうときは女の子の祭なので母にはなにもクレームを入れず心のなかで泣いていた。

この何年かぶりに心の涙が落ちたことがあった。

 

久しぶりに菱餅が食べたくなったので、買い物に行く妻についでに買ってきてとお願いした。

 

るんるんで待っていて、妻が菱餅を買って来てくれた。

 

硬い硬い菱餅を。

私が昔から好きな柔らかい上新粉で作られたものでなく、ガチの餅米で作られたものではなかった。

 

カチカチの菱餅を右手に持って、間が空いたが、ここで「違う」なんて言おうものなら細かい注文をしなかった私が敗訴するのは目に見えてるので、心の涙を押し殺しながら礼を伝えた。

 

でも焼いて食べたら意外と美味しかったからよかった。

終わり良ければ全て良し。