好きな小説を教えてというテーマを見て書かずにはいられなかった。
私の一番好きな小説
どこから行っても遠い町 川上弘美作
これは私の人生の中で最高の小説と言っても過言ではない。連作短編モノは手の空いた時にサクっと読めるのでだいたい好きなのだけども、これは通常のそれとは一線を画している。
この小説に載っている物語は全てひとつの町の中で起きた出来事なのだが、その中でも三作品で登場人物が共通して出演している。
その三作品は「小屋のある屋上」「どこから行っても遠い町」「ゆるく巻くかたつむりの殻」
「小屋のある屋上」では塾講師の女性の視点で物語が進む。よく通う魚屋は気のいいご主人と、もう一人の源さんという男性が切り盛りしている。ご主人には奥さんが居たのだが、もう亡くなっていて、源さんはなんと死んだ奥さんの元愛人らしい。
なぜご主人がそんな奥さんの愛人と暮らしているのだろうか、答えは空かされないまま一作目は区切られる。
二作目「どこから行っても遠い町」は妻が居るのに愛人と関係の切れない男性目線で話は進んでいく、その男性が女性関係に踏ん切りがつかない状態を、昔見た光景と重ねていた。それは一作目でなくなった奥さんがまだ生きている頃、ぼんやりすることが多かった奥さんが、ある日突然駆け出し、履いていたセッタを脱ぎ捨てて源さんに体を預ける姿だった。魚屋のご主人の奥さんに迷いはなかった。
三作目の「ゆるく巻くかたつむりの殻」はその魚屋の奥さん目線で語られる。なぜ魚屋のご主人と源さんが一緒に住んでいるのか、なぜ奥さんは源さんと浮気しなければいけなかったのか、その答えがすべて明かされる。
生きることの儚さ、そして意義と素晴らしさ。私はこの小説を読み終わった後、風が吹き抜ける高原に居るかのように全てを感じ取っていた。
もちろん全ての答えは皆さんに読んでいただきたいと思う。
雑記
ま~~~~た暑くなってきたよ。
なんだよ、困ったねェ。
中途半端な台風が来て涼しくなるのを期待したのに、私を嘲笑うようにゴキゲンな太陽が活躍しているのはどういうことだい。
昼間34度、もう限界はとうに超えているよ。夜は何とか涼しくなるがそれでもクーラーは付けないと蒸し暑い。いつまで電気代を高くすれば気が済むんだい。
だいたい近頃の日本は秋が少ないんだよ、九月超えたら少し前なら20度くらいになっていだだろうに、いつまでも残暑を引きずりおってからに。
ずーっと夏が終わらないもんだからツクツクホウシもまったく鳴いてないよ、ツクツクホウシは鳴かないのに鈴虫が夜に鳴いているよ、どうしたもんだい。